大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

京都地方裁判所 平成5年(わ)268号 判決

本籍

京都市中京区室町新町之間三条下る三条町三四二番地

住居

京都市西京区大枝北福西町二丁目五番地の五

ゴルフ会員権売買業

髙木幸雄

昭和一六年七月一日生

右の者に対する所得税法違反被告事件について、当裁判所は、検察官早川幸延出席の上審理し、次のとおり判決する。

主文

被告人を懲役一年六月及び罰金三五〇〇万円に処する。

右罰金を完納することができないときは、金二〇万円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置する。

この裁判の確定した日から三年間右懲役刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人は、京都市中京区鳥丸通御池角リクルート明治生命ビル二階に事務所を設けて「京滋ゴルフサービス」の屋号でゴルフ会員権の売買業を営んでいたものであるが、自己の所得税を免れようと企て、売上の一部を除外するなどの方法により所得を秘匿した上、

第一  昭和六三年分の実際総所得金額が六一一六万四三一一円で、これに対する所得税額が二五九三万一八〇〇円であったのにかかわらず、平成元年三月一五日、京都市中京区柳馬場通二条下る等持寺町一五番地所在の所轄中京税務署において、同税務署長に対し、総所得金額が二三八七万二九二三円で、これに対する所得税額が六七一万五五〇〇円(申告書では誤って六五五万〇五〇〇円)である旨虚偽過少の所得税確定申告書を提出し、もって、不正の行為により、正規の所得税額との差額一九二一万六三〇〇円を免れ

第二  平成元年分の実際総所得金額が三億五五二七万一二一六円で、これに対する所得税額が一億七一七七万五〇〇〇円であったのにかかわらず、平成二年三月一五日、前記中京税務署において、同税務署長に対し、総所得金額が四三四〇万八〇一六円で、これに対する所得税額が一六一六万八五〇〇円(申告書では誤って一五九九万三五〇〇円)である旨虚偽過少の所得税確定申告書を提出し、もって、不正の行為により、正規の所得税額との差額一億五五六〇万六五〇〇円を免れ

たものである。

(証拠の標目)

判示事実全部について

一  被告人の当公判廷における供述

一  被告人の検察官に対する供述調書三通(検第64号ないし第66号)及び大蔵事務官に対する質問てん末書三一通(検第34号ないし第63号、第74号)

一  森口博の検察官に対する供述調書(検第31号)及び大蔵事務官に対する質問てん末書六通(検第24号ないし第28号、第30号)

一  木村知子の大蔵事務官に対する質問てん末書(検第32号)

一  大蔵事務官作成の査察官調査書二〇通(検第1号ないし第19号、第73号)

一  検察事務官作成の電話聴取書(検第21号)

判示第一の事実について

一  中京税務署長作成の証明書(検第22号)

判示第二の事実について

一  森口博の大蔵事務官に対する質問てん末書(検第29号)

一  大蔵事務官作成の査察官調査書(検第20号)

一  中京税務署長作成の証明書(検第23号)

(法令の適用)

一  罰条

判示第一及び第二の各所為について、それぞれ所得税法二三八条一項、二項

一  刑種の選択

判示各罪について、いずれも懲役と罰金の併科

一  併合罪の処理

刑法四五条前段

懲役刑について、同法四七条本文、一〇条(犯情の重い判示第二の罪の刑に法定の加重)

罰金刑について、同法四八条二項

一  労役場留置

刑法一八条

一  懲役刑の執行猶予

刑法二五条一項

よって、主文のとおり判決する

(裁判官 谷鐵雄)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例